きらびやかなティーサロン、麗しい使用人に圧倒される、わたくし達姉妹
お嬢様風で、続きます。
使用人の椿木さんは、注文が決まればベルで呼ぶようにおっしゃり、一度離れていきました。
メニューブックには、大まかに、アフタヌーンティーのセットと、パスタのセットが載っています。
わたくし達は、アフタヌーンティー「アンナマリア」をいただこうと決めましたが、セットに選べる紅茶の種類が豊富すぎる上、選び方もわかりません。
使用人におすすめを聞くなり、おまかせするなりすればよいところ、まだ、うまくお願いできる自信もありませんでした。
二人とも、一生懸命メニューブックをにらんで、好みに合いそうな紅茶を選びました。
(お姉様はクッピー・甘い香りがしました)
(わたくしは、バタフライクラシックというブレンドティー)
スコーンのお味は、チョコやアールグレイなどから、また、それに添えるプリザーブも選べます。
「プリザーブって何?」
「ジャムよ。」
(楽しみはじめる)
いよいよベルを鳴らしますが、初めてのことに勇気がいる、
少し躊躇し、たまたま目線の先にいた別の使用人の表情を伺うと、目線で「どうぞ鳴らしてみてください」と言うように頷いてくださる。
お姉様がチリンと鳴らし、いらっしゃった椿木さんに注文をお伝えできました。
「デザートは、AとBどちらになさいますか?」
決めていなかったお姉様は、椿木さんの目を見て
「…どちらが好き?」
「わたくしは、Aでしょうか。」
「じゃあBで」
驚いた。思わず、
「お姉様!あまのじゃくが過ぎましてよ!」とたしなめました。
「いえ、逆張りも好きです」←?
椿木さんはお姉様のフォローをしてくださった。
(みんな格好良い)
注文を済ませたことで、とりあえずホっとでき、周りをキョロキョロ見回してしまいます。
執事や使用人たちを観察せずにはいられません。
- 口ひげをカールさせ、これまたカールしたロングヘアをリボンでまとめた、ダンディな方
- ツーブロックのスタイルで、トップの長い毛は一本の長い三つ編みに、背中まで垂らしている方
- 茶髪の可愛い系の方
- まるで黒執事のような方
年齢も様々、皆様それぞれ個性と魅力があふれていらっしゃり、背筋をピンと伸ばして、スマートな動き。
「すごいね…皆様、格好良い、シュッとしてはりますわ。」
「京言葉?」
わたくし達の使用人の椿木さんは、比較的お若いように思われました。
黒髪をかきあげた、とてもお顔の綺麗な方で、強いて言うなら横浜流星のような雰囲気。
「フチなし眼鏡」が大変クールに似合っていらっしゃる。
お姉様と「ねえ、椿木さんって一番格好良くない…?」「やっぱり?そうだよね。わかる。」「顔きれい」
もし他のお嬢様を担当していたら、羨ましく思って見つめてしまいそうなくらい、麗しくイケている椿木さんが担当で、嬉しい。嬉しゅうございました。
(スコーンと紅茶)
お紅茶のティーカップには、英国のロイヤルアルバートをセレクトくださったとのこと。
(常連お嬢様になると、カップの指定ができるという噂です。)
「お紅茶のお代わりの際は、ご自身では注がず、こちらのベルでお呼びください。本日、お嬢様方には、ティーカップより重いものをお持ちいただくことはありません。」
間もなく三段のティースタンドも運ばれ、サンドイッチ、スコーン、デザートの説明をいただきました。
超かわいく盛り付けられており、写真を撮れないのが勿体ないです。
最初は何から召し上がりますか?と尋ねられ、英国式ならサンドイッチからがベターと勉強してまいりましたが、スコーンの温かいうちにいただきたいと要望して、お皿を出してもらう。
「お皿のお取り替えの際も、お呼びください。」
「勝手にお皿を変えたり、紅茶を注いだらどうなるの?」とお聞きしましたら、周りの執事がすっとんでくるとのこと。
お姉様が、「あら、そう聞いたらしたくなるわね。」
「おやめくださいね、お嬢様。大旦那様に叱られてしまいます。」
困り笑いのサービス付きでした。
スコーンを楽しむ15分ほどの間、椿木さんは2~3回、お呼びせずとも紅茶を注ぎにきてくれました。
ベルを鳴らして、「お皿を代えていただけるかしら。」「かしこまりました。お紅茶もお注ぎいたしますね。」
「どうもありがとう。」「とんでもございません。」
お紅茶が美味しくて、沢山飲み進めてしまい恥ずかしいと伝えたら、「まだ、このくらいございますよ。」とティーポットの中の量を教えてくださいました。
(やりますわよ)
緊張もとけ、いよいよ、わたくしもあたたまりました。
実際にお転婆なのは、お姉様よりも、わたくしの方です。
勝手にお皿を変えたり、紅茶を注いだりしたくなってきました。
続きます。